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スイフト 試乗レポート

スイフト 試乗レポート

2012年10月18日

エンジンスタートは、今や全車がプッシュボタン式だ。軽快な音で火が入るエンジンは、全車が軽量で高効率な1.2リッター直4DOHCに統一されて いる。ここで、「MORE SWIFT」実現に大きく立ちはだかったものの正体を知る。やはりそれは、急激に強まった「環境性能」への要求だ。

吸気側に加えて、排気側にもVVT(可変バルブタイミング機構)を採用した

ロー/ハイという2段階の副変速機構を持つ新CVTは、従来型CVTよりも

整理しつつ考えると、まず新型スイフトは、主に衝突時の安全性や高速走行時の安定性を向上させるために、ボディサイズ拡大が必須だった。結果とし て全長が95mm伸び、内訳では衝突安全のために85mmを費やし、ホイールベースは40mm拡大で安定性をアップ。また15インチタイヤのモデル比で、 前後トレッドもそれぞれ20mm/15mmアップとなっている。唯一、全高は先代同等を保っており、本当に必要最低限のサイズアップにとどめたことがわか る。

 

とはいえ、やはりその分の重量増を放っておくと、軽快なハンドリングにも燃費にも響いてしまう。しかしただ軽量化するだけでは、ヤワなクルマになりかねな い。剛性は高めつつ、重量は絞る。その相反する目標をどうブレークスルーしたのか。それがよくわかる部分が、例えば前後の新設計アクスルである。

フロントはスタイビライザーとコイルスプリングの配置効率化でスタビライザーの剛性を30%もアップし、リヤはトーションビーム断面を二重構造と して約25%の剛性アップ。リヤスタビライザー廃止で2kgを稼いだことなどで、ロールを抑えたキビキビとしたハンドリングを手に入れている。

その他にも、こうした攻防が各部で繰り広げられた結果、全体として2WDのCVT車では先代より10kg軽くなっているという。気になる燃費は、 10・15モードで最高23.0km/リッター。新型スイフトと同じく副変速機構付きCVTを搭載し、その上アイドリングストップまで採用した新型マーチ の26.0km/リッターには及ばないが、世界レベルで見れば優秀な燃費である。

一般道、高速道路、サーキットと3ステージで味わった新型スイフトは、それはそれは素晴らしかった。走り出してすぐに感じるスカッとした軽さ。カッ チリとした剛性感を持ちながら、決して「カタい」とは感じさせない絶妙なサジ加減。CVTでは一般道や高速でのスムーズさは想像通りだったが、驚いたのは それがサーキットになると、しっかりスポーティに走れることだった

走りをセールスポイントとするスイフトだけに、最適なドライビングポジショ

電気自動車(EV)をベースに発電用のエンジンを搭載する、レンジエクステ

パレットSWですでに実力を証明済みの副変速機構付きCVTは、スイフトでもいい仕事をし、0-100km/h発進加速が先代比約7%、 40-80km/h追い越し加速は約16%向上しているという。また5MTはシフトアシスト機構を採用して、カチッと素早いシフトフィールが味わえるし、 可変ギアレシオが採用されたステアリングは、低速から小気味いい操作感だ。

ひとつ残念なのは、新型では4WDモデルでMTが選べなくなったこと。実はスイフトといえども日本でのMT比率は5%程度と決して高いとは言え ず、削らざるを得なかった。ただし、スイフトスポーツでは約70%がMTを選ぶ。鋭意開発中という新型の“スイスポ”が、とても楽しみである。

世界を見据えてコツコツと造り上げた新型スイフトは、とても懐の深いクルマになっていた。きっと、日本のコンパクトカーの危機も救ってくれるはずである。